off-lineTMS, on-line TMS とfMRIを使った研究

がすごい。

O'shea et al., (2007) Functionally Specific Reorganization in Human Premotor Cortex. Neuron, 54, 479-490

コンピュータ上で運動選択課題をさせる(人差し指or中指でキーを押す)わけだが、大きい○または小さい□なら人差し指、小さい○または大きい□なら中指というように、刺激は単純だけど少しややこしくしておく。
このようにdemandingな運動選択課題で左の運動前野が働くことが分かっているが、ここに1Hz 15分間のrTMSを当てる。そのあとに課題を実行する
すると

rTMS直後の実行→運動選択課題が特異的に阻害される
rTMSした後4分空けての実行→効果なし

このようにすぐに認知パフォーマンスは回復するわけだがrTMSの効果そのものがそんなに短いのか?
いや、そうではないらしい。どうやら対側の右運動前野が機能補完してこれを行っているようだ。

ということがわかったのはなぜかというと、TMS後4分を空けての課題実行をMRI内で行い、TMS無しの場合と比較したからである。左PMdへのTMS後に運動選択課題を行っている時にはTMS無しの場合と比べて右PMdの活動が上昇していた(ほかにも上昇個所はあったはず)

さらにこれにとどまらず面白いと思ったのは、左PMdにrTMSを当てた後、今度は右PMdにon-lineでTMSを当てながら課題を行わせていることである。そうすると、事前のrTMSなしの場合には右PMdへのon-line TMSは運動選択課題の遂行に影響を及ぼさないのだが、左PMdへのrTMSのあとにこれを行うと課題成績が低下したのである。つまりさっきまで運動選択の責任部位でなかった脳領域が急に運動選択課題の実行に関与し始めたわけである。

このようにTMSは神経システムの可塑性の発揮を促すといえる。



しかし、読み終わってしばらくして考えたが、私としては単純にTMSが脳の可塑性の発揮を促したといってよいのか疑問が残る。

この研究でいえばrTMS後の左PMdの神経活動が阻害されている状態で、その機能が必要な課題を行ったために「予備」の領域が動き始めたと考えるのが妥当であって、そのような課題を行わなければ右PMdが特に活性化するような必要性はなかったかもしれない。rTMSと課題とのコンビネーションで可塑性の発揮(と見えるような状態)が観察されたのであって、TMS自体は”刺激した領域の神経活動の阻害を行った”ということで解釈として間違っていない気もするのである。

例えると、
学校のクラスで数学の先生が急に休んだ時に、その日のカリキュラムに数学の授業がなければそのクラスは何も影響がない。
しかしもし数学の授業が予定されててどうしてもしなきゃいけなかったら、普段そのクラスを教えていない代わりの先生が来て授業をしていくかもしれない。
授業システムの可塑性を促したのは、直接的には授業しなきゃいけないというdemandのほうだとおもうのだ。

そのあたりのことを考えて、この研究の成果は、大脳皮質がもともと持っている可塑性をrTMSと適切な課題によって引き出し、観察可能な状態にした、ということだと言えるのではないだろうか。


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