Active Perception: 今週のJournal Club (追記あり)

こちらの研究室でJournal Clubというのをやっていて、2週間に一度持ち回りで一つずつ論文紹介するんですよ。まあ2週間に一回とかいいつつこの1ヶ月半ほど開かれていた空気がないのは秘密ですが。

今回は
Pulvermuller and Fadiga 2010 Active perception: Sensorimotor circuits as a cortical basis for language. Nature Reviews Neuroscience, 11, 351-360
でした。perspectiveという論文の種類で、基本レビューなんだけどこれまでの研究から新しい視点を提出して未来に投げるといった感じ?

Summary

The claim of this study was that the motor circuit which is associated with human motor output is also largely engaged in "perception" of language.

The article was consisted of three main discussions.
1. speech perception
2. semantic recognition
3. syntactics processing

<1. speech perception>
The connections between left inferior frontal cortex (Broca's region) and superior temporal cortex (Wernich's area) is highly developed in human left hemisphere. This might be the cortical basis of language, as these were less developed in non-human primates [Fig1].

There are articulatory "mirror neurons" in human perisylvian cortex (=シルビウス溝周りの皮質).
(Authors virtually claims internal articulation should be a part of phoneme perception.)
We can find somatotopic representation of verbal sounds in human M1. TMS on parts of M1 that associate with movement of "tongue" or "lips" can differentially affect the perception of the concordant sound (i.e. "t" and "p") [Fig2].

Human children's "bublling" becomes similar to the sounds of their first language (spoken by their parents) during 6-12 months.
Children with severe neurological deficit that affects articulation have less vocabularies.

<2. Semantic recognition>
Action-related words activate concordant somatotopic representations in motor cortex (i.e. "kick" and "grasp")。They are also active when participants actually move their concordant body parts.[BOX2]

<3. Syntactics processing>
patients with damage in Boca's area also manifesto "agrammatism" - a grammer processing deficit. Sequencing is the commonality between nested action and production of syntactic speech. Sequence specific neurons have been found a range of animals. The same mechanism could be operating on language in humans.(authors are implying that the ability to sequence multiple action plans would be the precursor of human language evolution.) [BOX3]



この論文のメインは1だと思った。つまり音素の聞き取りが発声の運動表象にサポートされているという話。2と3はより広い意味での意味での「運動表象」の関与を論じているけど、その運動表象の内容が1からだいぶ隔たってくるので、同列に論じてもよいのかなと感じた。音素の理解に発音機構が関与するのと、「つかむ」とか「蹴る」とかの動詞の理解で該当する身体運動領域が活動するのとではだいぶ意味合いが違うと思うんだけどなあ。まあぱーすぺくてぃぶだからそのあたりまとめて運動関連領域が言語理解のさまざまな場面で関与してますよ、っていう紹介をしてるんだと考えよう。

私の貧弱な英語聞き取り能力で理解する限り、今回のJCで提出された疑問は以下のようなもの。

a. 音声の知覚は発音が成立する前からおこっているのに、どうしてそれが運動表象を必要とするといえるのだろうか
b. 運動表象が言語理解において役割をはたしているだろうというのがわかったが、実際にそれがどのような役割なのかが見えない。
c. 言語とは音声言語だけではない(手話もある)し、聴覚障害や発声障害があっても一般に言語獲得可能だと思うのだが、実際ここで言語理解と結び付けられている運動表象が、どれだけ言語にとってcriticalなものなのか。(部分的な影響にとどまるのではないか)


私自身の理解としては、この論文で紹介されている様々な運動表象の言語への関連は確かに通常の言語獲得・使用において重要な役割を果たしているかもしれないが、そのことだけで言語を成立させるものではないだろうと思っている。だから聴覚と発声の対応が言語のbasisだということになると、どうしてもそこには反論したくなる。手話はどうなのか。書き言葉の理解はどうなのか。第二言語獲得でうまくしゃべれないけど相手の言ってることの理解はできるという場面はどう説明するのか。

a. おそらく”人間のしゃべっている音声”として音を聞くには運動表象が必要なんだろう。それによってほとんど似通っている音素間のfine-grainedなカテゴリ化が可能になっているのだと思う。(shとsとか、tとdとbとpとか、日本人の場合rとlを発音し分けないから聞きとれないというのもあると思うよ)

b. この論文の1(speech perception)の部分に関しては、上に述べたように音素の効率的な分類化ということで運動表象(というか発音表象?)が役割を担っているだろう。しかし意味理解に関しては、運動表象っていうのは色表象とか形表象とかにおい表象とか、その他たくさんある意味の側面のうちの一つにすぎないんじゃないかと思う。

c. これは実は自分で言ったやつだけど、やっぱり運動表象による説明というのにこだわりすぎるとよくないんじゃないかと。mirror neuronというのはcoincidenceであって大騒ぎするような認知的役割はないと信じている研究者もいるようだし。
その辺の批判をどうまとめるかについては今後の誰かの課題。たぶんsyntacticsあるいはsequencingのほうが言語に特徴的な処理として重要な研究対象になってくるのではないかと思う。ってそのことはこの論文の著者らも強調してたけどほんとそう思う。


このあたりをきちんと英語で議論できるようになりたいがとりあえず今はついていくので精一杯です。

(追記:20100516)
Pulvermullerのページ
http://www.mrc-cbu.cam.ac.uk/people/friedemann.pulvermuller

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