TMSでcategory-general/specificな意味処理を統合的に説明する理論を検証する

最近全然更新してなかった。相当論文チェックしたはずなのにメモしてないから頭からどんどん抜け落ちる。とりあえず最近必要があって読んだCurrent Biologyの論文めも。実験的にすごく丁寧にしてみよう。

Pobric et al 2010 Category-specific versus category-general semantic impairment induced by transcranial magnetic stimulation

脳における意味認知のされかたについて3つの仮説がある
 hubなし(古典的)仮説
 hubのみ仮説
 hub and spoke仮説

ATL(anterior temporal lobe)という領域が意味情報を束ねるハブ領域なのではないかとして現在研究が盛んに行われているわけです。古典的な仮説では、視覚的情報が優勢な意味情報は視覚領域で主に処理され(動物とか)、運動情報が必要な情報は運動領域で主に処理され(道具とか)、といった具合にmodality-specificな処理の集まりが意味であると考えられます(おおざっぱに言って)。極端にいえばモダリティを超えた情報処理は必要ないと言えるわけです(hubなし仮説)。
ところが側頭葉損傷患者では、その他の視覚関連領域とか運動領域とかの部位は損傷されてないにもかかわらず、モダリティに関係なく意味情報全体が失われていきます。そこで、側頭葉がモダリティを超えた意味情報処理を担い、modality-specificな領域は単に情報の入出力に関わっているだけという仮説が考えられます(hubのみ仮説)

でhub and spoke仮説とはこれらのどちらでもなく、modality-specificな領域群とハブ領域の両方が意味認知に重要という考え方です。
車輪の中心とそこから延びる何本ものスポークのように、ハブ領域と各モダリティ関連領域を考えています

おおざっぱにいえば上のような3つの説があって、そのうち最後の説を支持する結果がこの研究では提出されています。

今回の研究では左脳半球においてTMSを用い、ハブ領域とされるATL、あるいは運動関連領域であるIPLを刺激します。ATLはこめかみのちょい上くらい、IPLは左耳の上から後ろに2,3センチ、上に3,4センチくらいかなーと思います、たぶんものすごい不正確ですが。
実際の実験では3次元座標を測定する磁気センサーとPCとをつないで参加者の頭部とあらかじめMRIでとった画像の重ね合わせを行い、正確に刺激部位を測定します。

TMS(正確にはこの研究で用いたのはrepetitive TMSである)は刺激される部位の神経活動を一時的に乱します。これによってその部位がどのような認知機能を担っているかを様々な課題を用いて調べることができるわけです。

今回の課題はpicture namingでした。動物と人工物両方が混じって出てきます。その名前をその場で答えるという課題です。

で、結果としては
ATL刺激→カテゴリに関係なく反応遅くなる。
IPL刺激→人工物だけ反応が遅くなる。より詳細にみると、操作可能な物体(manipulable object)について反応時間が遅くなっていた。


結論
ATLへのTMSは意味表象全般の処理を遅らせる
IPLへのTMSはそのモダリティに関係する意味表象の処理を遅らせる

すなわち、ATLとIPLが両方、異なる形で意味表象の処理に関わっていることが分かった。この結果はATLをハブとして、IPLをスポークとして考えたときのみ説明可能である。すなわちハブなしならATL-TMSのmodality-generalな影響が説明できず、ハブのみ仮説では単に情報の出入り口であるIPLへのTMSが、この意味処理課題に及ぼす影響が説明できない。
したがってhub and spoke仮説が支持される。


その他にもメモすべき論文多数あるがまた明日にすることにしよう。途中から丁寧じゃないだろとか言わない。
やっぱ普通にめもした方がいいな。疲れるし。

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